金の売却と税金。いくらから・なぜばれるかを条文で
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金の延べ棒(地金)や金貨を買取に出すと、まとまった金額が振り込まれます。そのとき気になるのが、税金がかかるのか、いくらから申告が要るのか、申告しなかったら税務署に分かるのか、です。このページでは、所得税法と国税庁の案内の原文で、その3つを順に確かめます。ここで書くのは仕組みまでです。自分の場合の税額は、税務署か税理士に確かめてください。
金を売ったもうけは「譲渡所得」になる
金の地金や金貨を売ったもうけは「譲渡所得」(物を売って得たもうけ)です。給与などほかの所得と合わせて税額を計算する「総合課税」なので、金だけに決まった税率がかかるわけではありません。国税庁のタックスアンサー(コード3161)の書き方です。
金地金を売ったときの所得は、原則、譲渡所得として、給与所得など他の所得と合わせて総合課税の対象となります。
同じページは、もうけを目的に何度も売り買いしている場合は、実態に応じて事業所得か雑所得になるとしています。このページは、手元の金を1回か2回売る人を前提に書いています。
指輪やネックレスのような金の製品は、線がもう1本あります。生活に使ってきた物で、1個30万円以下なら所得税がかからない側に入ります(所得税法施行令25条)。その線は遺品整理の買取と税金で原文から確かめています。
「50万円までは非課税」は正しいか
正しくは、「1年のもうけの合計から50万円を引ける。5年を超えて持っていたなら、残りの半分だけが所得に入る」です。50万円は所得税法33条4項の「譲渡所得の特別控除」で、売った金額ではなく、もうけから差し引く額です。
譲渡益(もうけ)は、売った金額から、買った値段(取得費)と売るための費用を引いた額です(同じ33条3項)。300万円で売っても、250万円で買った金なら、もうけは50万円です。
50万円は1年間の合計に対してです。国税庁のタックスアンサー(コード3161)の注記です。
(注) 譲渡所得の特別控除の額は、その年の金地金の譲渡益とそれ以外の総合課税の譲渡益の合計額に対して50万円です。これらの譲渡益の合計額が50万円以下のときはその金額までしか控除できません。
同じ年に金を2回に分けて売っても、ほかの物を売っても、50万円は1回分しかありません。
持っていた期間でも差がつきます。5年以内に売ったものは短期、5年を超えて持っていたものは長期です。両方あるときは、短期(33条3項1号)のもうけから先に引きます。所得税法33条5項です。
第三項の規定により譲渡益から同項に規定する譲渡所得の特別控除額を控除する場合には、まず、当該譲渡益のうち同項第一号に掲げる所得に係る部分の金額から控除するものとする。
長期のほうは、特別控除を引いたあとの額の半分だけを給与などと合わせます。所得税法22条2項の2号です。
原文を読む(所得税法22条2項)
二譲渡所得の金額(第三十三条第三項第二号に掲げる所得に係る部分の金額に限る。)及び一時所得の金額(これらの金額につき第六十九条の規定の適用がある場合には、その適用後の金額)の合計額の二分の一に相当する金額
もうけが50万円以下なら譲渡所得は0円ですが、それは売った金額ではなく、もうけで見た話です。
いくらから確定申告が要るか
会社員で年末調整を受けていて、ほかに副業などの所得がない人の場合です。5年を超えて持っていた金なら、1年のもうけが90万円を超えると確定申告が要る側に入ります。5年以内に売った金なら、70万円を超えると要る側です。線は国税庁のタックスアンサー(コード1900)のこれで、根拠は所得税法121条1項です。
給与を1か所から受けていて、かつ、その給与の全部が源泉徴収の対象となる場合において、各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く。)の合計額が20万円を超える人
この20万円と比べる額は「総所得金額」から出すので(所得税基本通達121-6)、長期のもうけは半分にしたあとの額で比べます。
1年のもうけ(譲渡益)の合計所得税の確定申告
50万円以下
特別控除で譲渡所得は0円。申告は要らない側
50万円を超え90万円まで
50万円を引いて半分にした額が20万円以下。申告は要らない側
90万円を超える
半分にした額が20万円を超える。申告が要る側
5年以内に売った金は半分にしないので、もうけが70万円までなら、50万円を引いた額が20万円以下に収まります。ただし、医療費控除などで確定申告をする人は、金のもうけも合わせて書きます。所得税の申告が要らなくても、住民税の申告が要る場合があるので、住んでいる市区町村に確かめます。
20万円の線は、給与を受けている人のためのものです。仕事をしていない人や自営業の人には、この線はありません。所得の合計から基礎控除などの所得控除を引いて、なお税額が出るときに申告が要ります(所得税法120条1項)。年金を受け取っている人の線は、遺品整理の買取と税金の「確定申告が要るか」で扱っています。
仮の数字で計算してみる
仕組みを見るための仮の例です。12年前に200万円で買った金地金を、350万円で売ったとします。売るための費用はなかったとします。
- もうけ(譲渡益)は、350万円から200万円を引いて150万円
- 特別控除の50万円を引いて、100万円
- 持っていた期間が5年を超えるので、半分の50万円を給与などと合わせる
50万円は20万円を超えるので、会社員でも確定申告が要る側に入ります。税額は、給与など、ほかの所得と合わせた全体で決まります。
買った値段が分からないとき
買った値段が分からないときは、売った金額の5%を取得費にして計算してよいとされています(所得税基本通達38-16)。通達の原文は遺品整理の買取と税金で引いています。
さきほどの例で買った値段が分からないと、取得費は350万円の5%で17万5,000円、もうけは332万5,000円になります。200万円で買ったと分かる場合より、もうけが大きくなります。取得費は実際に買った値段で計算するのが原則で、5%はそれが分からないときの扱いです。購入したときの明細書や、店の買取・販売の記録が残っていないか、売る前に探しておきます。
相続した金を売るとき
親から相続した金は、いつ・いくらで買ったかを、亡くなった人から引き継ぎます。相続(限定承認をしたものを除く)で受け継いだ物は、亡くなった人が引き続き持っていたものとみなされます(所得税法60条1項1号)。親が20年前に買った金なら、相続してすぐに売っても長期として扱います。買った値段が分からなければ、さきほどの5%を使うことになります。相続税は、売ったもうけにかかる所得税とは別の税金です。遺産全体で基礎控除額を超えるかどうかで決まり、その線は遺品整理の買取と税金で扱っています。
申告しないと「ばれる」のか
金地金等を200万円を超えて売ると、買い取った業者は「支払調書」(誰にいくら払ったかを知らせる書類)を税務署に出します。ただし、支払調書が出るかどうかと、申告が要るかどうかは別の話です。
所得税法225条1項は、支払調書を出す人を並べています。その14号です。
十四居住者又は恒久的施設を有する非居住者に対し国内において前条に規定する金地金等の譲渡の対価の支払をする同条に規定する支払者
「前条」は所得税法224条の6で、金や白金の地金、金貨、白金貨をまとめて「金地金等」と呼んでいます。そこで言う代金からは、政令で定める金額以下のものが除かれています。その金額は所得税法施行令350条の7にあります。
法第二百二十四条の六(金地金等の譲渡の対価の受領者の告知)に規定する政令で定める金額は、二百万円とする。
出す時期は、国税庁の手続の案内(F1-42)でこうなっています。
支払確定日の翌月末日
調書の様式には、売った人の住所・氏名・個人番号のほか、金地金等の種類、重さ、支払った金額を書く欄があります。200万円を超えて売るときに、業者からマイナンバーを求められるのはこのためです。その手続は買取の本人確認で扱っています。
申告が要るかは、ここまで見たもうけの額で決まります。200万円以下で調書が出なくても、もうけが線を超えていれば申告が要ります。逆に、200万円を超えて調書が出ても、もうけが小さければ申告が要らないこともあります。
売る前に確かめること
金のアクセサリーや時計を買い取る業者は、古物営業法の許可を受けて営んでいます。許可番号の確かめ方は古物商の許可番号の調べ方にあります。許可は営んでよいという事実で、高く買うことまでは保証しません。
税金の面では、売る前に次のものをそろえておくと、あとの計算が楽になります。
- 買ったときの明細書など、取得費が分かる物
- 買った日、または相続した物なら亡くなった人が買った日が分かる物
- 同じ年にほかに売った物があるかのメモ
自分の場合に申告が要るか、税額がいくらになるかは、税務署の相談窓口や税理士に確かめてください。
この記事で確かめたこと
- 原文から引用した文
- 8件
- 出典
- 5件(法令 2)
- 公開
引用が出典の原文と一致するかを、公開後も機械で照合しています。確かめ方は運営者情報にあります。
