不用品の出張買取と不用品回収の違い、呼ぶ前に確かめる許可
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引越しや家の片付けで物を手放すとき、「出張買取」と「不用品回収」の広告の両方が目に入ります。どちらも業者が家に来て物を持っていくので、似たものに見えます。ところが、根拠になる法律も、許可を出す役所も違います。値の付く物を買い取るのは古物の商売で、値の付かない物を運んで処分するのはごみ(廃棄物)の収集運搬です。このページでは、その線を条文で引いてから、業者を呼ぶ前に確かめることを並べます。
値の付く物を買い取るのは古物商(古物営業法3条)
中古品を買い取って売る商売は、公安委員会の許可を受けて営みます。古物営業法3条はこう定めています。
前条第二項第一号又は第二号に掲げる営業を営もうとする者は、都道府県公安委員会(以下「公安委員会」という。)の許可を受けなければならない。
家に来て品物を買い取る業者は、この許可を受けた古物商です。許可証の番号は、業者のサイトと公安委員会の一覧で照らし合わせられます(古物商の許可番号の調べ方)。ただし、許可は古物の商売をしてよいという事実で、高く買うことや、ていねいに対応することの保証ではありません。
環境省も、まだ使える家電は中古品として売るよう案内しています。
中古品を扱うリユースショップ(リサイクルショップ)など、古物商の許可を有し、信用できる業者に中古品としての買取りを依頼してください。
値の付かない物を運ぶのは市町村の許可業者(廃棄物処理法7条1項)
家庭で出るごみは、法律の言葉では「一般廃棄物」です。廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)2条2項は、こう決めています。
この法律において「一般廃棄物」とは、産業廃棄物以外の廃棄物をいう。
工場や会社の事業から出る決められたごみが産業廃棄物で、それ以外が一般廃棄物です。一般廃棄物を集めて処分するのは、6条の2第1項で市町村の仕事とされています。そのうえで、市町村のほかに一般廃棄物を運ぶ商売をするには、市町村長の許可が要ります。廃棄物処理法7条1項です。
一般廃棄物の収集又は運搬を業として行おうとする者は、当該業を行おうとする区域(運搬のみを業として行う場合にあつては、一般廃棄物の積卸しを行う区域に限る。)を管轄する市町村長の許可を受けなければならない。ただし、事業者(自らその一般廃棄物を運搬する場合に限る。)、専ら再生利用の目的となる一般廃棄物のみの収集又は運搬を業として行う者その他環境省令で定める者については、この限りでない。
ただし書きの「環境省令で定める者」は、廃棄物処理法施行規則2条が挙げています。1号にあるのが、市町村から委託を受けて集める業者です。許可は、業者が商売をする市町村ごとに受けるものです。
環境省は、古物商の許可では家庭のごみを集められないことをはっきり書いています。
ご家庭の廃棄物を回収するには、市区町村の「一般廃棄物処理業許可」や委託が必要です。「産業廃棄物処理業の許可」や「古物商の許可」では回収できません。
許可を受けずに一般廃棄物を集めたり運んだりする商売には、罰則があります。廃棄物処理法25条1項は、罰の重さをこう定めています。
次の各号のいずれかに該当する者は、五年以下の拘禁刑若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
同じ25条1項の1号が、7条1項に違反した者です。
一第七条第一項若しくは第六項、第十四条第一項若しくは第六項又は第十四条の四第一項若しくは第六項の規定に違反して、一般廃棄物又は産業廃棄物の収集若しくは運搬又は処分を業として行つた者
許可業者の料金には上限もあります。廃棄物処理法7条12項は、市町村が条例で決めた手数料の額を超える料金を受けてはならないとしています。
第一項の許可を受けた者(以下「一般廃棄物収集運搬業者」という。)及び第六項の許可を受けた者(以下「一般廃棄物処分業者」という。)は、一般廃棄物の収集及び運搬並びに処分につき、当該市町村が地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百二十八条第一項の規定により条例で定める収集及び運搬並びに処分に関する手数料の額に相当する額を超える料金を受けてはならない。
出張買取
- 値の付く物を業者が買い取る
- 許可を出すのは公安委員会(古物営業法3条)
- 業者が家に来て買うと特定商取引法の訪問購入になる
不用品回収
- 値の付かない物を運んで処分する
- 許可を出すのは市町村長(廃棄物処理法7条1項)
- 料金は条例の手数料の額が上限(7条12項)
お金を払うのがどちらか、許可を出すのが誰か
「無料で引き取る」「少しでも買う」でも、ごみに当たることがある
「値段を付けて買ったのだから、ごみではない」とは限りません。環境省は2012年3月、都道府県と政令市に向けて出した通知の概要で、家電についてこう書いています。
特定家庭用機器以外の使用済家電製品についても、無料で引き取られ又は低廉な価格で買い取られる場合であっても、直ちに有価物と判断されるべきではなく、総合的、積極的に廃棄物該当性を判断されたいこと。
ごみかどうかは、物の状態や、引き取ったあとの扱いなども合わせて判断される、という立場です。「無料」「買取」と書いた広告だけで、許可の要らない取引だと決めつけないほうが確かです。
市町村の側も、同じことを案内しています。横浜市のページは、家庭のごみを運ぶ業者についてこう書いています。
横浜市のご家庭で不要となったものを廃棄物として収集運搬する事業者は、横浜市から一般廃棄物収集運搬業の許可を受けなければなりません。
同じページには、無料の回収を頼んだあとに作業料や処分料を求められた相談の例も載っています。
買い取れない物の処分費を求められたとき
出張買取で来た業者が、値の付かない物の処分を持ちかけてくることがあります。このとき、処分を頼む契約は「業者に物を売る」ではなく「お金を払って運んでもらう」契約です。買取の許可である古物商の許可だけでは、家庭のごみは運べません。
国民生活センターは2022年11月、不用品回収のトラブルについてこう注意を呼びかけています。
インターネットやチラシ等で広告を大々的に出している事業者が必ずしも一般廃棄物処理業の許可業者とは限らないため注意してください。
作業のあとに高い料金を求められたときの扱いにも触れています。
見積もりのために呼んだ事業者とその場で契約した場合や、広告等の表示額と実際の請求金額が大きく異なる場合などは、特定商取引法の訪問販売によるクーリング・オフ等が適用できる可能性があります。
「可能性があります」という書き方のとおり、当たるかどうかは契約の中身で変わります。また、買取の値段から手数料や搬出料を差し引かれた場合の扱いは、消費者庁の通達にあります(出張買取でクーリングオフできない場面の「自分で業者を呼んだとき」の節)。
家電・家具を売ったあとは、クーリング・オフが効かない
出張買取で売った物のうち、大きな家電と家具は、特定商取引法の訪問購入の品物から外れています(特定商取引法施行令34条)。ただし持ち運びが簡単な家電は外れません。外れる品物では、家に来てもらって売っても、8日間のクーリング・オフは使えません。どの品物が外れるかと、骨とう品として戻る例外は、出張買取でクーリングオフできない場面で条文ごとに確かめています。
エアコン、テレビ、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・衣類乾燥機の4品目は、売れないときの処分の道も別に決まっています。環境省の案内はこうです。
これらの家電は、「家電リサイクル法」に基づき、家電小売店などによって引き取られ、家電メーカーがリサイクルを行います。
業者を呼ぶ前に確かめること
出張買取・不用品回収を頼む前に
- 売りたい物と、処分したい物を分けておく
- 買取の業者は、古物商の許可証の番号を公安委員会の一覧で照らし合わせる
- 処分も頼むなら、その業者が住んでいる市町村の一般廃棄物収集運搬業の許可を受けているかを、市町村の一覧で確かめる
- 処分の料金と追加料金の有無を、作業の前に書面で受け取る
許可業者の一覧は、多くの市町村がホームページで出しています。横浜市は、許可業者の目印についても案内しています。
また、収集車両に4桁の許可番号を表示しており、ご家庭へ配布するチラシ広告にも同じ許可番号を掲載するよう本市から依頼しています。
引越しのときは、少し事情が違います。
引越しごみについては、許可を受けていない引越業者が収集運搬を行うことができる場合があります。
これは施行規則2条の例外に当たる場合のことで、条件があります。引越し業者に頼むときも、住んでいる市町村に確かめると確実です。
見積もりの取り方について、国民生活センターはこう書いています。
もしも不用品の回収を市区町村以外に依頼する場合は、市区町村のホームページや窓口への問合せで一般廃棄物処理業の許可業者を探し、複数社から見積もりを取り、追加料金がかからないことなどを十分に確認したうえで依頼しましょう。
亡くなった家族の家を片付けるときは、売る前に相続の手続きで確かめることがあります(遺品整理の買取)。頼んでいないのにトラックで回ってきた業者が家に上がって買取を持ちかけるのは、押し買いとして特定商取引法が禁じている勧誘に当たることがあります。
困ったときの相談先
料金や作業のことで納得できないときは、消費者ホットライン188に電話できます。国民生活センターは、188をこう説明しています。
最寄りの市町村や都道府県の消費生活センター等をご案内する全国共通の3桁の電話番号です。
許可のない業者に処分の料金を求められたときの相談を、横浜市のように市の担当課で受けている市町村もあります。
この記事で確かめたこと
- 原文から引用した文
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