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不動産買取の注意点|売る側に付かない決まりを条文で

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2026/9/24公開

不動産を売る方法には、不動産会社に買い手を探してもらう「仲介」と、不動産会社にそのまま買ってもらう「買取」があります。

買取では、不動産会社が買主になります。宅地建物取引業法には、不動産会社が売主のときに買う人を守る決まりが多くあります。買取では、その多くが売る人の側を向いていません。

このページでは条文を読んで、買取で売る人に付くものと付かないものを分けました。あわせて、訳ありの家や土地を買い取っている5社の公式サイトを開き、売ったあとの責任・費用・断る場合の書き方を並べました(2026年9月24日確認)。

最初に「買取か仲介か」を聞く(34条2項)

同じ会社が、買取も仲介もしていることがあります。宅地建物取引業法34条2項は、依頼を受けた会社に、どちらの形かを伝えるよう求めています。

宅地建物取引業者は、宅地又は建物の売買、交換又は貸借に関する注文を受けたときは、遅滞なく、その注文をした者に対し、取引態様の別を明らかにしなければならない。

「取引態様の別」は、会社が自分で契約の当事者になるのか、代理か、媒介(仲介)かの区別です。この記事で比べた成仏不動産(マークスライフ株式会社)は、買取のページでこう書いています。

また、買取よりも仲介で個人様向けに販売することが売主様にとって金額的メリットが大きくなると判断すれば正直にそのようにご提案します。

どちらの形になるかで、この先の決まりが変わります。査定の話が進む前に、どちらの形で話しているのかを聞いておきます。

買取

  • 会社が買主になる
  • 仲介手数料(46条)は生まれない
  • 37条の書面は受け取る

仲介

  • 会社は売主と買主の間に立つ
  • 媒介契約の書面(34条の2)と報酬(46条)がある
  • 買い手が見つかるまで待つ

会社が契約の当事者か、間に立つ人か

宅地建物取引業法で見た、買取と仲介の違い

付かないもの1 仲介手数料(46条1項)

仲介手数料の上限は、46条1項が国土交通大臣に決めさせています。

宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買、交換又は貸借の代理又は媒介に関して受けることのできる報酬の額は、国土交通大臣の定めるところによる。

対象は「代理又は媒介」の報酬です。買取では会社が自分で買うので、この報酬はそもそも生まれません。5社とも、公式サイトで買取なら仲介手数料がかからないと案内していました。

ただし、手数料が無いことと、売る人の負担がゼロであることは別です。訳あり物件買取プロ(株式会社AlbaLink)は、トップページの注記でこう書いています。

買取価格は物件の状態・立地・権利関係等の条件により異なります。また、物件によっては費用をご負担いただく場合(有償取引)もございます。

片付けや解体にお金のかかる物件では、売る側が払って引き取ってもらう形になることもある、ということです。出てきた条件が「いくらで買うか」なのか「いくら払えば引き取るか」なのかを、書面で確かめます。

付かないもの2 重要事項の説明(35条1項)

仲介で家を買うときに受ける「重要事項の説明」は、35条1項が決めています。

宅地建物取引業者は、宅地若しくは建物の売買、交換若しくは貸借の相手方若しくは代理を依頼した者又は宅地建物取引業者が行う媒介に係る売買、交換若しくは貸借の各当事者(以下「宅地建物取引業者の相手方等」という。)に対して、その者が取得し、又は借りようとしている宅地又は建物に関し、その売買、交換又は貸借の契約が成立するまでの間に、宅地建物取引士をして、少なくとも次に掲げる事項について、これらの事項を記載した書面(第五号において図面を必要とするときは、図面)を交付して説明をさせなければならない。

説明するのは「その者が取得し、又は借りようとしている」宅地や建物についてです。買取で家を手に入れるのは会社の側です。売る人に向けた説明の義務は、この条の文言からは出てきません。

そのため契約の中身は、次の37条の書面を自分で読んで確かめることになります。

付くもの1 契約の書面(37条1項)

契約の中身を書いた書面は、買取でも受け取れます。37条1項です。

宅地建物取引業者は、宅地又は建物の売買又は交換に関し、自ら当事者として契約を締結したときはその相手方に、当事者を代理して契約を締結したときはその相手方及び代理を依頼した者に、その媒介により契約が成立したときは当該契約の各当事者に、遅滞なく、次に掲げる事項を記載した書面を交付しなければならない。

「自ら当事者として契約を締結したときはその相手方に」とあるので、会社が買主のときも、売る人はこの書面を受け取ります。

書く事項は号ごとに並んでいます。売る人がとくに読むのは、代金と払う時期(3号)、引き渡す時期(4号)、契約の解除(7号)、違約金(8号)、売ったあとの責任の定め(11号)です。7号・8号・11号は「定めがあるときは」書く事項です。書かれていなければ、その定めが本当に無いのかを聞いて確かめます。

付くもの2 うそや脅しの禁止(47条・47条の2)

35条1項の「宅地建物取引業者の相手方等」には、売買の相手方が入っています。買取で会社に家を売る人も、この相手方です。だから相手方等を守る禁止の決まりは、売る人にも向いています。

宅地建物取引業法47条は、禁止事項をこう書き出しています。

宅地建物取引業者は、その業務に関して、宅地建物取引業者の相手方等に対し、次に掲げる行為をしてはならない。

1号が禁じているのは、契約を勧めるときに、代金や取引の条件などの大事な事実をわざと告げなかったり、うそを告げたりすることです。契約をさせるための脅しは、47条の2第2項が禁じています。

宅地建物取引業者等は、宅地建物取引業に係る契約を締結させ、又は宅地建物取引業に係る契約の申込みの撤回若しくは解除を妨げるため、宅地建物取引業者の相手方等を威迫してはならない。

「威迫」は、脅して怖がらせることです。売るかどうかを決めるのは売る人で、その場で決めなくてかまいません。

付かないもの3 クーリング・オフ(37条の2)

宅地建物取引業法にもクーリング・オフがあります。ただし37条の2は、会社が売主のときに、買う人を守るための決まりです。

宅地建物取引業者が自ら売主となる宅地又は建物の売買契約について、当該宅地建物取引業者の事務所その他国土交通省令・内閣府令で定める場所(以下この条において「事務所等」という。)以外の場所において、当該宅地又は建物の買受けの申込みをした者又は売買契約を締結した買主(事務所等において買受けの申込みをし、事務所等以外の場所において売買契約を締結した買主を除く。)は、次に掲げる場合を除き、書面により、当該買受けの申込みの撤回又は当該売買契約の解除(以下この条において「申込みの撤回等」という。)を行うことができる。

使えるのは「買受けの申込みをした者又は売買契約を締結した買主」です。買取で家を売る人はどちらにも当たらないので、この条で契約を解除することはできません。

自宅で話を聞いて契約する場合も、この点は変わりません。売る人の側の守りになるのは、署名する前に読む解除の定め(37条1項7号)です。家具や貴金属などの品物を家で売った場合は、特定商取引法の別の決まりになります(買取のクーリングオフ)。

売ったあとの責任は、売る人にかかる(民法562条・572条)

家を売ったあとに雨漏りなどが見つかったときの責任を、契約不適合責任といいます。民法562条1項は、買主が売主に直すよう求められると定めています。

引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものであるときは、買主は、売主に対し、目的物の修補、代替物の引渡し又は不足分の引渡しによる履行の追完を請求することができる。ただし、売主は、買主に不相当な負担を課するものでないときは、買主が請求した方法と異なる方法による履行の追完をすることができる。

買取では、買主が会社で、売主が売る人です。何も決めなければ、この責任は売る人の側にかかります。

会社が売主のときは、宅地建物取引業法40条1項が買主に不利な特約を制限しています。

宅地建物取引業者は、自ら売主となる宅地又は建物の売買契約において、その目的物が種類又は品質に関して契約の内容に適合しない場合におけるその不適合を担保すべき責任に関し、民法(明治二十九年法律第八十九号)第五百六十六条に規定する期間についてその目的物の引渡しの日から二年以上となる特約をする場合を除き、同条に規定するものより買主に不利となる特約をしてはならない。

これも「自ら売主となる」ときの決まりなので、買取には当てはまりません。責任をどうするかは、売る人と会社の特約で決まります。今回見た5社のうち4社は、公式サイトで売ったあとの責任を負わない形だと案内していました。

ただし民法572条は、責任を負わない特約にも例外を置いています。

売主は、第五百六十二条第一項本文又は第五百六十五条に規定する場合における担保の責任を負わない旨の特約をしたときであっても、知りながら告げなかった事実及び自ら第三者のために設定し又は第三者に譲り渡した権利については、その責任を免れることができない。

知っていて黙っていた不具合は、特約があっても責任が残ります。カチタス(株式会社カチタス)のよくある質問は、この例外まで書いていました。

ご安心ください。万が一、売却後に建物にシロアリ被害などの不具合が発見された場合でも、弊社が買い取った後は、売主様は基本的に責任を負う必要がありません。※査定時に虚偽の申告があった場合などはその限りではありません。

雨漏り・シロアリ・境界のもめごとなど、知っていることは査定のときに伝えておきます。そして、ウェブサイトの「責任なし」ではなく、契約の書面の11号の欄を読みます。

5社の公式サイトを開いて比べた

比べたのは、ラクウル、成仏不動産、ワケガイ、訳あり物件買取プロ、カチタスです。売ったあとの責任と、決済までの日数の表示を並べると次のとおりでした。

会社売ったあとの責任決済・現金化までの表示
ラクウル問われない決済は最短1日
成仏不動産売主の責任なし最短即日に現金化
ワケガイ見た範囲では記載なし査定は3営業日以内、最短で翌営業日に買取完了
訳あり物件買取プロ免除できる見た範囲では記載なし
カチタス基本的に負わない(虚偽の申告は除く)査定は最短3日、決済は最短3週間

日数はどれも「最短」の表示で、自分の家がその日数で終わるという約束ではありません。各社のどのページを見たかは、下の業者の欄に書きました。

「安い理由」は、会社が自分で書いている

買取の値段が仲介より低くなりうることは、2社が自分のサイトで書いていました。成仏不動産の買取のページです。

スピーディな売却が可能である一方で、一般的に仲介よりも売却価格が低いことがデメリットです。

同じページはこの続きで、事故物件は仲介でも買い手が見つかりにくく、結局は値段を下げることになる場合もある、と添えています。

カチタスの、買取と仲介の違いのページです。

仲介よりも査定額が低い可能性があります。

カチタスは同じページで、自社でリフォームして売る前提で買い取ると説明しています。仲介は、買い手が見つかるまで待つ代わりに、その買い手が払う値段で売れます。買取は待たない代わりに、会社が直して売り直すことを前提にした値段になります。早さと値段のどちらを取るかは、売る人の事情で決まります。

「断られた」ときに見るところ

買い取れない物件の例を挙げていたのは2社です。ワケガイのよくある質問です。

山林や田、畑、採草放牧地など、宅地として利用できない土地や、賃貸需要が全く無いエリアの不動産は買取が難しい場合があります。

カチタスのよくある質問です。

ただし土地のみの場合やその他条件によってはお断りさせていただくケースもございます。

カチタスは家を直して売る会社なので、建物の無い土地は合わないことがあります。ワケガイのように、共有持分や再建築できない土地を専門にする会社もあります。1社に断られたら、どの条件に当たったのかを聞いてから、扱う物件の違う会社か、仲介を考えます。

「売れなければ買い取る」約束の読み方(34条の2)

仲介で売り出して、決めた期間に売れなければ会社が買い取る、という特約を付けることがあります。国土交通省の「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」は、34条の2の媒介契約のところで、この特約をこう扱っています。

なお、一定の期間中に目的物件の売却ができなかったときは、宅地建物取引業者が媒介価額を下回る価額で買い取る旨の特約は、売主が宅地建物取引業者に安く売ることを義務付けず、売主の希望があれば宅地建物取引業者が買い取るべきことを定めたのみであれば差し支えない。

問題がないとされているのは、売主が望めば会社が買い取る、という形だけです。売れなかったら必ずその値段で会社に売る、と読める書き方になっていないかを、媒介契約の書面で確かめます。

免許番号も、売る前に確かめる(3条1項)

家を買い取る会社も、宅地建物取引業法3条1項の免許を受けて営業しています。今回の5社は、どれも会社のサイトに免許番号を出していました。国土交通省の「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム」で番号を引くと、5社とも商号と本店の所在地が一致しました(2026年9月24日)。

番号の読み方と調べ方は、宅建業者の免許番号の記事にまとめています。相続した家を売る場合の税金の特例と期限は、相続した不動産の売却と税金で確かめてください。このサイトがどう確かめて書いているかは、運営者情報にあります。

この記事で確かめたこと

原文から引用した文
18
出典
8(法令 2)
公開

引用が出典の原文と一致するかを、公開後も機械で照合しています。確かめ方は運営者情報にあります。

紹介した業者の許可と費用

業者運営会社許可の確認費用
ラクウル株式会社ネクサスプロパティマネジメント宅建業免許:公的な一覧で確認
国土交通大臣(1)第10311号
記載なし(理由は下)
成仏不動産マークスライフ株式会社宅建業免許:公的な一覧で確認
国土交通大臣(1)第10129号
記載なし(理由は下)
ワケガイ株式会社ネクスウィル宅建業免許:公的な一覧で確認
国土交通大臣(1)第10481号
記載なし(理由は下)
訳あり物件買取プロ株式会社AlbaLink宅建業免許:公的な一覧で確認
国土交通大臣(1)第10112号
記載なし(理由は下)
カチタス株式会社カチタス宅建業免許:公的な一覧で確認
国土交通大臣(7)第5475号
記載なし(理由は下)
ラクウル
買取の流れのページに「自社買取のため、売却後に契約不適合責任を問われる心配はありません。」「ご決済は最短【1日】、お振込みで完了します。」とあります。例外の条件は、トップ・よくある質問・買取の流れの3ページでは見つかりませんでした。会社概要の宅地建物取引業免許番号は国土交通大臣(1)第10311号で、国土交通省の検索システムで商号と本店所在地が一致しました(2026年9月24日) 買取の流れのページの比較表で、仲介手数料は「0円」、相談・査定・現地調査は成約に至らなくても費用がかからないとしています。よくある質問では査定の無料に「(一部、対象外あり)」と添えています。登記や残置物の処分など、ほかに売る側が払うものの一覧は見つからなかったので、金額は載せていません(2026年9月24日確認)
成仏不動産
事故物件を専門にした買取のページで、メリットの一覧に「買取り後の売主様責任なし」「最短即日に現金化可能」を並べています。買取できない場合は協力会社を紹介するとし、仲介のほうが売主に有利と判断すれば仲介を提案するとも書いています。運営会社の事業内容に不動産買取事業と不動産仲介事業の両方があります。免許番号は国土交通大臣(1)第10129号で、国土交通省の検索システムで商号と東京本店の所在地が一致しました(2026年9月24日) 買取のページで「仲介手数料なし」に「※弊社買取りの場合」と条件を付けています。特殊清掃などの費用を売買代金で清算する「持ち出し0円プラン」もありますが、同じページが諸経費が代金を上回れば持ち出しが出ることがあると注記しているので、売る側の負担が0円とは言えません。金額は載せていません(2026年9月24日確認)
ワケガイ
よくある質問に、相談から3営業日以内に査定金額を示し、納得すれば最短で翌営業日に買取完了とあります。買取が難しい例外として、宅地として使えない土地と賃貸需要の無い地域を挙げています。売ったあとの責任(契約不適合責任)の扱いは、トップとよくある質問では見つかりませんでした。免許番号は運営会社のサイトの会社情報で国土交通大臣(1)第10481号とあり、国土交通省の検索システムで商号と本店が一致しました(2026年9月24日) よくある質問で、買取なら仲介手数料等が要らないこと、価格や条件が折り合わず買取に至らなかった場合も費用はかからないことを案内しています。共有持分の問題を専門家が間に入って解決する場合には「※別途費用がかかるケースがあります。」とあるので、金額は載せていません(2026年9月24日確認)
訳あり物件買取プロ
トップページで、自社に売れば契約不適合責任を免除できると案内しています。決済や現金化までの日数の表示は、トップページでは見つかりませんでした。会社概要の免許番号は国土交通大臣(1)第10112号で、国土交通省の検索システムで商号と本店が一致しました(2026年9月24日) トップページで、買取なら仲介手数料がかからないとする一方、注記で物件によっては売る側が費用を負担する場合(有償取引)があるとしています。どの物件でいくらになるかは書かれていないので、金額は載せていません(2026年9月24日確認)
カチタス
トップページの売る人向けの欄で「査定価格提示まで最短3日」「現金決済まで最短3週間」と表示しています。よくある質問では、売ったあとの責任は基本的に負わないとしたうえで、査定時に虚偽の申告があった場合は除くと注記しています。土地のみの場合などは断ることがあるとも書いています。企業情報の登録免許番号は国土交通大臣(7)第5475号で、国土交通省の検索システムで商号と本店が一致しました(2026年9月24日) 買取と仲介の違いのページの表で、買取は広告宣伝も仲介手数料も「不要」としています。売買契約のときに実印・印鑑証明書・住民票などが要ると案内していますが、その取得費や登記の費用を誰が持つかは見つからなかったので、金額は載せていません(2026年9月24日確認)

費用は各業者の公式サイトで、税込の金額が文章で明示されているものだけを掲載しています。

宅建業の「許可の確認」は、各社の会社概要に書かれた宅地建物取引業の免許番号を、 国土交通省の「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム」で照合できたかどうかを書いたものです。 宅地建物取引業法には、免許番号を自社のウェブサイトに出す義務はありません(事務所などに標識を掲げる義務はあります)。 サイトで見つからないことは、免許が無いことを意味しません。

出典